行方の行方

このサイトは盧 興錫による『風景の行方、作品の行方』http://rofungsok.ro21.orgの続編です。
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広がるのは閉塞の風景だけだ
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『閉塞感』といったものを、この国の風景の中に感じ始めたのはいつの頃だろうか。
具体的な事件なりがきっかけになったということがなく、はっきりとは思い出せないが、じわりじわりと息苦しさは感じてきていた。
それはどうもバブル絶頂期の頃だったようだ。
日本の会社がニューヨークのロックフェラービルを買っただの、
ボジョレー・ヌヴォーを大量に買い付けただの、
日本中が何かに取り憑かれたように浮かれていた80年代後半には、
派手な世相とはうらはらに、何かやり場のなさを感じていた。

そして20年経ったいま、
『閉塞感』は、”感”ではなく、ままの『閉塞』そのものを目の当たりにしている。
『閉塞』は年間3万人以上を自殺に追いやり、
川崎市金属バット事件のノブヤ、オウム真理教事件の高学歴幹部たち、神戸連続児童殺傷事件のサカキバラ、大阪小学校児童殺傷事件のタクマ、そして今回の秋葉原連続殺人事件のカトウを産み落とした。もちろん他にもたくさん…
「他殺含みの自殺」とは、自分以外は「あと全部」にしか見えないせいではないか。
壊れてしまった可哀想な自分以外は、親も兄弟も友人も世の中すべてが一つの巨大なコンクリートの壁にしか見えないという事だろう。

『閉塞』はどこから来たのだろうか。
長く考えてきた。
やはり「疎外」や「排除」から生まれてきたのだろう。
意識的な疎外や排除行為もあったろうが、自己営為の膨張がそのような『仕組み』を作ってしまったと言った方が正しいような気がする。
政治もそのような風潮に持ちつ持たれつ、牽引、助長したのは言うまでもない。

社会システムが未熟で不備な場合、人々は無駄な労力ばかり多く生活するに不便だ。
ところが反対にあまりに効率化優先に築かれると、アソビがなくなり非人間的になる。
システムを構築し運用するためには、『例外』を排除することが最も早道となる。
ー70%の人々ができるなら、残り30%の人々も同じようにできるに違いない。
様々な運動で残り30%を10%までにできるなら、その10%は例外とし無視していい。
無視すればシステムは安定し効率的かつ合理的だ。ーこんな感じだろうか。

六三三制の教育制度、その上は四か二だ。
義務教育は六三までだが、高校進学率はだいぶ前から90%以上で、
高卒が例内で、残り10%弱の中卒は『例外』とされる。
例えば、中学を卒業した後、数年働いたあと高校に入る。
普通科高校の途中で専門高校に入り直す。
高校の同級生の年齢がまちまちになる。
何も悪くないし間違ってもいない。かえっていいくらいだ。
しかし、現状はかなりキツイ。

少子化で大学全入時代とかいう声さえ聞こえてくる。
み〜んなが六三三四。なんか恐ろしい。
『総なんとか』『唯一なんとか』ほど恐ろしいものは無い。
人はいろいろな人がいて、色んな人生があって世の中が面白くなるのに…
九七制、六六四制、十六制、四六六制など色んな制度が、地域や私立、職種別、教育理念にあって、親子共々選択に悩み、複雑で分かりにくく、行政者が汗だくで対応しなければならない…
といった学校制度のほうが、人は生きやすくはないだろうか。
少なくとも『例外』は生じにくくなる。

それがどんなにつまらないシステムであっても、システムは文明であるので、
人々はシステムから振り落とされないようにしがみつく。
システムは規則正しく運行されるので、乗り遅れれば一大事だ。
最近では、システム内でも鼻くそほどのセレブなステータスができるようになり、競ってそれに群がる。
システムは階層的に『例外』を作り出し,自動的に排除している。

効率化、合理化だけのシステム、
システム運用者にとってだけ都合のいいシステム、
例外を嫌う人々によりうわべだけ整備されるシステム、
こんなシステムが風景をも形作っている。
広がるのは閉塞の風景だけだ。

heisoku_escape


作品 "escape" 陶やきしめ


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