行方の行方

このサイトは盧 興錫による『風景の行方、作品の行方』http://rofungsok.ro21.orgの続編です。
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おいしい口実、潮の香り 横須賀美術館
yokosuka
新しくできた横須賀美術館に行って来た。
新しいものができれば、すぐに見に行くといった趣味があるわけでも、
時間を持て余しているわけでもない。
いつもと違う景色の中でアートを見てみたいとふと思ったので足を伸ばした。
日本橋から乗り継ぎ、乗り継ぎたっぷりと2時間。

〈生きる〉展-現代作家9人のリアリティ
という企画が開館記念で組まれていた。
9人のすべての作品をみたいということではなかったが、
まとまって見る事ができるいい機会ではあった。

展覧会タイトル、企画意図、キュレーターステートメント、選定作家
そして何より作品、そして会場、および会場のロケイト…
あまたある展覧会の中には、これらのものがバラバラな物が少なくない。
企画意図には、どう見てもそぐわない作家や作品
タイトルとステートメントとの不整合
露出度の大きな作家の名前は出てはいるが、作品は貧弱過小…などなど。

そういう意味において、この横須賀美術館=〈生きる〉展、なかなか良かった。
当然9人の作家のうちには、好き嫌いもあるが、
それを超えて「イマ」を生きるリアリティが伝わって来た。
『感触』という単語が頭の中に浮かんだ。
感覚ではなく、感触だ。

「消費」を裏打ちにしたちょ〜感覚的なイメージやムービーに飼いならされた
私たちは、スペクタクルなイリュージョンの裂け目でしか、
自己の〈生きる〉を実感できなくなっている。
9人の作家達もやはり”その思い”はあるのではないだろうか。
生きているということを感触で、取り返そうとしているのではないだろうか。
そんなことを思わせた。

横須賀からの帰り道、東京へ向かう快速電車の中、
時が経つにつれ変化して行く車窓の風景を眺めつつ、妻有のことを考えていた。
「最先端の現代美術」を見たいがためだけに、
何十万人ものひとが妻有を訪れるのではあるまい。
最先端の現代美術見物を『口実』に、妻有を、いや日常とは違った風景を、
エンターティメントでもリクレーション、アミューズメントでもない風景を
見たいがためではないのだろうか。

市の中心ではなく、観音崎という交通の便はよくない
マッタリとした景色を切り開くように建った横須賀美術館
おいしそうな『口実』があれば、また潮の香りでも嗅ぎに行きたいものだ。

yokosukamuseum
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