行方の行方

このサイトは盧 興錫による『風景の行方、作品の行方』http://rofungsok.ro21.orgの続編です。
<< しびれている奴が多すぎる | main | 囲いの正体を見てやりたい >>
あるべきところから外れ、さまよい続けるのがいい
?μ???1/4?? class=

イスラエルがヨルダン西岸で進めている巨大な「分離壁」建設の映像をテレビで見た。
高さ8メートル、全長730Kmのコンクリート壁でパレスチナ自治区と分離するために作られているという。東京-神戸が確か700キロくらいだ。おまけに高圧電流付きだそうだ。
その壁の凶暴な姿は、テレビ画面でのニュース映像ですら十分すぎるほど感じとれるものだった。

1989年、ベルリンの壁が崩されるのを同じくテレビで目撃した。
人々が壁をハンマーで打ち壊す、そのドラマチックな映像は何度も何度も繰り返し流された。
おそらく20世紀を回顧するときには必ず使われる映像であろう。
しかし、壁を打ち壊す光景の次に目撃したものは、場所は違うが、新たな壁を築く光景であった。

人類は「進歩」しているのだろうか?
これも「進歩」のための過程/試練のひとつなのか?

つい先日、『エドワード・サイード OUT OF PLACE』という映画をポレポレ東中野で見た。
イスラエル/パレスチナには全く縁もゆかりもないであろう日本人制作者/監督による、故サイードの「風景」を追ったドキュメンタリーだ。
文句無く傑作だった。
縁もゆかりもどころか、利害や因縁が深すぎるほど深いアメリカ人では撮ることはむずかしかろうなどと思ったりした。

分離壁/隔離壁も出てくる。
工事中の壁をまるで日よけのようにして寄りかかり、質問に答える子供達
様々な地域や国から移住してきた人々で国が成り立ち、風貌やしぐさ、習慣にアイデンティティーを見いだせないイスラエル国内
東欧から移住してきたキブツのおじさん
イスラエル領土内に残り、タバコの葉を栽培し売っているパレスチナ人のおじいさん
パレスチナ難民キャンプでのお父さん

この映画は、難民キャンプの狭い路地を(撮影に協力した)男性の歩いていく後ろ姿をラストシーンとしている。
いい終わりだった。
時や場所は違えどサイードも多く見た、あるいは心にいつもあった風景だったであろう。

「あるべきところから外れ、さまよい続けるのがいい。けっして本拠地など持たず、どのような場所にあっても、自分の住まいにいるような気持ちは持ちすぎないほうがよいのだ」
サイードの言葉を、ここにも残しておこう。

ポレポレ東中野での上映は12月29日まで

ポレポレ東中野-hp
http://www.mmjp.or.jp/pole2/

SIGLO-hp
http://www.cine.co.jp/said/index.html

写真は映画にあわせて刊行された書籍
『エドワード・サイード OUT OF PLACE』
みすず書房
採録シナリオ全編、佐藤監督の制作ノート、カットされたインタビューなど

| 映像の風景 | 17:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
LINKS
PROFILE
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT TRACKBACK
モバイル
qrcode